SMOKE

今日は写真を撮るきっかけのひとつになった映画「スモーク」について書きます。ニューヨークの作家、ポール・オースター原作/脚本、ハーヴェイ・カイテルウィリアム・ハート主演、ブルックリンの煙草屋を舞台にした映画です。派手さはまったくないけれど、いかにも「ニューヨークで活動する作家が丁寧に書き上げたんだろうな」ということが伝わってくる静かな名作です。ちなみに主演のハーヴェイ・カイテルはハリウッド映画にも多く出演しているので、顔を見たら「あっ、あの人ね」となる人も多いかと思いますが、この映画と、同じくポール・オースター脚本の「ルル・オン・ザ・ブリッジ」の彼は、ハリウッド映画に出ている彼とは比較にならない程いい味出してます。

色々なストーリーが交錯する映画なのであらすじは割愛しますが、その映画の核になるストーリーのひとつに、写真に関わる話があります。

主人公のオーギーは、ブルックリンの自分の煙草屋の前の街角を、毎朝同じ時間に写真に撮っています。彼がそのカメラで撮るのは毎日その1枚だけ。同じ時刻に、同じ構図で1枚。そしてそれを10年以上、1日も欠かさずにやっているのです。4000枚以上にもなったその写真を見せられた、煙草屋の常連のポールは「なんだ、同じ写真ばかりでつまらない」とアルバムをパラパラとめくりながら言います。するとオーギーは「写真の見方が間違っている。1枚1枚よく見てみるんだ。一見同じ写真ばかりに見えるかも知れないけど、晴れの日もあれば、雨の日もある。違う人間が写っている写真もあれば、同じ人間が写っている写真もある。同じ人間が写っていても、毎日同じ表情じゃない。幸せそうな顔をしている日もあれば、そうじゃない顔の日もある。」ポールはそう言われて、その膨大な記録写真をじっくりと見てその面白さに気付き始めます。そして、強盗の凶弾で命を落とした妻の「その日」の写真を見つけます。。。

僕もはじめは客のポールと同じように「つまらない写真」だと思って見ていましたが、ポールとシンクロしてその写真の良さに気付きました。毎日、同じ場所、同じ時刻に撮り続ける事によって、単なる街角スナップ写真でも、記録写真でもなく、そのフレームに収められた人々の人生を切り取って、観る者にその裏にあるストーリーを想像させる作品になっていたのです。そう気付いた時はハッとしました。そして同じような写真を撮ってみたいな、と。

残念ながらオーギーと同じような「自分の街角」はまだ見つけてないけど、こないだ新宿でちょっとした真似事をしてみました、という長〜い前置きみたいになってしまいましたが(笑)、今日は使える写真が全然撮れなかったのでそれをアップします。



「ある日の新宿の街角 1」


「ある日の新宿の街角 2」


「ある日の新宿の街角 3」


全部同じ設定で撮った方が良いんでしょうが、写真の練習も兼ねてたので一枚一枚設定を変えてます。
いつか、ちゃんとした写真がアップできるよう頑張ろっと。GXRはその描写力も持ってそうだから。


「スモーク」について書いたら見たくなってきた。。。真夜中だけど久しぶりに見よっ。